スワップ狙いのポジションを持つと、毎日少しずつお金が入ってきます。でも本当に知りたいのは、日々の受け取り額ではないはずです。
「レートがどこまで逆に動いたら耐えられなくなるのか」。そして「逆に動いても、何日持てばスワップで取り戻せるのか」。この2つです。
そこで、レートと保有日数を縦横に並べて、スワップ込みの損益を一覧にするツールを作りました。フランリラ(スイスフラン/トルコリラ)の売りのように、円が後ろにつかない通貨ペアにも対応しています。長く持つ前提で、建玉を約定日ごとに入れておけば、受け取ったスワップ込みの今の評価損益もわかります。入力内容はブラウザに保存できるので、次に開いたときもそのまま続きから使えます。

登録もダウンロードもいりません。この記事の中でそのまま動きます。
このツールでわかること
入力するのは、通貨ペア、売りか買いか、持っている建玉(約定日・Lot数・約定レート)、口座に預けたお金です。通貨ペアを選ぶと、ヒロセ通商(LION FX)の1Lotの通貨数とスワップが自動で入ります。開いた時点では、フランリラを10Lot(1万通貨)売った例の数字が入っています。
- 今の評価損益:レートの損益と受け取ったスワップを合わせた金額(口座アプリの評価損益と同じ考え方)
- レート×保有日数の損益:今日・1ヶ月後・3ヶ月後・半年後・1年後・2年後の時点で、そのレートにいたらスワップ込みでいくらか
- トントンまでの日数:そのレートまで逆行しても、何日持てばスワップで損を取り戻せるか
- 日数ごとのロスカット目安:受け取ったスワップで証拠金が増えると、ロスカットがどこまで遠ざかるか
- スワップ1年分の重み:1年分のスワップが、レートにして何円(何リラ)の逆行を埋めるか
- ナンピン・売り増しの影響:追加の注文を最大10個まで入れて、平均建値・トントンまでの日数・ロスカット目安がどう変わるか
- シミュレート:日付と想定レートを入れると、その日のスワップ込みの評価損益・証拠金維持率・損益ゼロのレート・ロスカット目安を表示(最大5つまで並べて比較)
- 入力内容の保存:通貨ペアごとにブラウザに保存して、次に開いたときに読み込む
使い方は3ステップ
- 通貨ペアと売りか買いかを選び、自動で入った1Lotの通貨数とスワップを、使っている口座の値と見比べる(違えば書き換える)
- 「持っている建玉」に、約定日・Lot数・約定レートを注文ごとに入れ、今のレートを入れる
- 預けたお金と、証拠金率・ロスカット維持率を入れる
ナンピンや売り増しを考えているなら、「+ 追加の注文を足す」で約定予定日・レート・Lot数を入れます。「この日にこのレートだったら?」を知りたいときは、シミュレートの欄に日付と想定レートを入れます。入れ終わったら「このブラウザに保存」を押しておくと、次に開いたときに読み込まれます。
今のレートは、決済するときの値を入れます。売りならASK(買値)、買いならBID(売値)です。口座アプリと同じ値を入れれば、評価損益もアプリとそろいます。
フランリラのように円が後ろにつかない通貨ペアでは、「トルコリラ/円のレート」も入れます。損益はリラで生まれるので、円に直すためにこのレートを使います。初期値は、ヒロセ通商のスワップ表(2026年10月3日分)から逆算した目安なので、今のレートに書き換えてください。
自動で入る数字について
1Lotの通貨数とスワップは、ヒロセ通商の2026年10月3日更新の表から入れています。ヒロセ通商の1Lotは、フランリラやドル円が1,000通貨、メキシコペソ/円が1万通貨と、通貨ペアによって違います。スワップは1Lot・1日あたりの金額で、口座アプリの表示と同じ単位です。スワップは毎日変わるので、使うときは口座の最新の表で確かめてください。
スプレッドの入力欄はありません。約定レートと今のレートを口座の表示どおりに入れれば、スプレッドはその値の中に入っているからです。
受け取ったスワップは、約定日から今日までの日数で見積もります。口座の「スワップ合計」を入れれば、その金額で計算します。長く持つほどスワップの額は日々変わるので、口座の数字を入れるほうが正確です。
証拠金率は、多くの国内口座で4%(レバレッジ25倍)です。ただ、通貨ペアや口座によっては15%や25%のところもあります。口座の説明ページで確かめてから入れてください。
例:フランリラを59.5000で1万通貨売った場合
初期値の例で、表の読み方を見ていきます。条件は次のとおりです。
| 項目 | 例の値 |
|---|---|
| 通貨ペア・売買 | スイスフラン/トルコリラ・売り |
| 数量・約定レート | 10Lot(1万通貨)・59.5000リラ、約定日は今日 |
| 1日のスワップ | +161.29円/Lot(ヒロセ通商・2026年10月3日更新)、10Lotで+1,612.9円 |
| トルコリラ/円 | 3.213円 |
| 証拠金・証拠金率 | 50万円・4% |
1年分のスワップは、約18リラ分の逆行を埋める
1日1,612.9円のスワップは、1年(365日)で588,709円になります。この例では、レートが1リラ動くと約32,130円の損益になります。つまり1年分のスワップは、約18.3リラ(建値の30.8%)の逆行を埋める量です。
数字だけ見ると心強いですが、これは「1年かけて」埋まる量です。値動きは1日で来ることもあります。そこで見るのが、次のロスカット目安です。
ロスカット目安は、日数がたつほど遠ざかる
受け取ったスワップが証拠金に加わると、ロスカットまでの余裕が増えます。この例のロスカット目安は、日数とともに次のように動きます。
| 時点 | ロスカット目安 | 建値からの距離 |
|---|---|---|
| 今日 | 72.1748リラ | +21.3% |
| 3ヶ月後 | 76.5189リラ | +28.6% |
| 1年後 | 89.7928リラ | +50.9% |
持ち続けるほど耐えられる幅は広がります。ただし、一番危ないのは今日、つまり建てた直後です。
シミュレート:半年後に62リラなら?
ツールを開いた時点のシミュレート欄には、「半年後(180日後)に62.0000リラまで逆行していたら」という想定が入っています。結果は次のとおりです。
| 項目 | 半年後に62.0000リラの場合 |
|---|---|
| レートの損益 | −80,325円 |
| スワップ合計 | +290,322円 |
| 評価損益 | +209,997円 |
| この日の損益ゼロのレート | 68.5359リラ |
2.5リラの逆行でも、半年分のスワップがあれば評価損益はプラスです。半年後の時点なら、レートが68.5リラ付近までならトントン以上という計算です。ただし、同じ62リラでも、明日来ればマイナスのままです。日付を変えて、何日目からプラスに変わるかを確かめてみてください。
「トントンまで」の列で、取り戻すまでの日数を見る
表の一番右の列は、そのレートまで逆行しても、何日持てばスワップで損を取り戻せるかを出します。
| 逆行したレート | 建値から | トントンまで |
|---|---|---|
| 61.2000リラ | +2.9% | 34日 |
| 65.0000リラ | +9.2% | 110日(約3.6ヶ月) |
| 70.0000リラ | +17.6% | 210日(約6.9ヶ月) |
| 75.0000リラ | +26.1% | 309日(約10.2ヶ月)※今日ならロスカット |
75.0000リラの行には「今日この値ならロスカット」と注意が出ます。309日持てば取り戻せる計算でも、建ててすぐにこのレートまで来たら、その前に強制決済されてしまうからです。

スワップ狙いは、マラソンの給水所みたいなものです。給水所は先にいくつもあるけど、最初の坂で倒れたら1本も飲めません。最初の数ヶ月をどう乗り切るかは、証拠金の厚さで決まります。
ナンピンすると、早く取り戻せる代わりに耐えられる幅が縮む
同じ例で、62.0000リラで10Lot(1万通貨)の売り増し(ナンピン)を足すとどうなるかを見てみます。
| 項目 | 追加なし | 62.0000で10Lotナンピン |
|---|---|---|
| 平均建値 | 59.5000リラ | 60.7500リラ |
| 1日のスワップ | +1,612.9円 | +3,225.8円 |
| 65.0000リラまで逆行したときのトントンまで | 110日 | 85日 |
| ロスカット目安(今日) | 72.1748リラ | 65.8951リラ |
| ロスカット目安(1年後) | 89.7928リラ | 83.5131リラ |
スワップが2倍になるので、損を取り戻すまでの日数は短くなります。そのかわり、今日のロスカット目安は72リラ台から65リラ台へ、6リラ以上近づきます。
追加なしなら耐えられた68リラや70リラの逆行が、ナンピン後は「今日この値ならロスカット」に変わります。ツールでは、追加の注文を入れると表がこの「全部約定した場合」に切り替わるので、ロスカットの灰色がどこまで上がってくるかを見比べてください。
ナンピンのレートに届く前にロスカットされる場合や、約定した瞬間に証拠金が足りなくなる場合は、その注文の欄に赤字で注意が出ます。

ナンピンは「取り戻すまでの日数」を縮める代わりに、「最初の坂の高さ」を上げます。表の右端の日数だけを見て足すと、灰色の壁にぶつかります。
スワップ狙いで見落としやすい3つのこと
1. スワップは毎日変わる
スワップの額は、2つの通貨の金利差で決まります。トルコの利下げなどで金利差が縮めば、スワップも減ります。このツールは「入力した額がずっと続く」前提なので、スワップが減れば、トントンまでの日数は表より長くなります。
2. 高金利の通貨は、長い目で見て下がりやすい
金利が高い通貨は、物価の上昇も大きいことが多く、通貨の価値が下がりやすい傾向があります。参考までに、CHF/TRYの直近1年の安値は50.9191、高値は60.4266でした(2026年9月時点、Investing.com)。安値から高値まで約18.7%動いています。フランリラの売りでは、この上昇がそのまま含み損になります。
3. 円に直すレートも動く
フランリラの損益はリラで生まれ、トルコリラ/円のレートで円に直します。ツールではこのレートを固定していますが、実際はリラ安・円高が進むと、同じリラの損益でも円にしたときの金額は小さくなります。
トルコリラ/円の買いとフランリラの売りの違い
どちらもトルコリラの高い金利を受け取るポジションです。違いは、リラと引き換えに持つ通貨が、円かスイスフランかです。
- トルコリラ/円の買い:リラが円に対して下がると損をする
- フランリラの売り:リラがスイスフランに対して下がると損をする
リスクが消えるわけではなく、リスクの相手が円からスイスフランに変わるだけです。市場が不安になるとスイスフランは買われやすいので、そのときはフランリラの売りに逆風になります。ツールでは通貨ペアを切り替えて、両方を同じ物差しで比べられます。
計算のしかた(自分で確かめたい人へ)
ツールの中身は、次の計算です。フランリラの場合は「円換算レート」にトルコリラ/円を、クロス円の場合は1を入れて読んでください。
- 評価損益(円)= レートの損益 + 受け取ったスワップ
- レートの損益(円)=(決済レート − 平均建値)× 数量(通貨)× 円換算レート(売りは決済レートと平均建値を入れ替える)
- 受け取ったスワップ(円)= 1Lot・1日のスワップ × Lot数 × 約定日から今日までの日数(建玉ごとに足す)
- ◯日後の損益(円)= 評価損益 + 1日のスワップ × Lot数 × ◯日
- 必要証拠金(円)= レート × 数量 × 円換算レート × 証拠金率
- 証拠金維持率 =(預けたお金 + 評価損益)÷ 必要証拠金
- トントンまでの日数 = 今日の時点の損 ÷ 1日のスワップ(小数点以下は切り上げ)
ロスカット目安は、維持率がロスカット水準まで下がるレートを逆算しています。スワップは土日の分もまとめて付くため、暦の日数で計算しています。証拠金とロスカットの仕組みは「証拠金とは」と「ロスカットとは」で解説しています。
よくある質問
入力した数字はどこかに送られますか?
送られません。計算はすべて、見ているブラウザの中だけで行います。「このブラウザに保存」を押したときも、保存先は使っているブラウザの中だけです。ほかのブラウザやスマホからは見られません。
スワップの値はどこで調べればいいですか?
使っているFX口座の「スワップカレンダー」や「スワップポイント一覧」のページで確認できます。1Lotあたり・1日あたりの円の額を入れてください。1Lotが何通貨かは口座によって違うので、「1Lotの通貨数」も口座に合わせます。週末や祝日の前には数日分がまとめて付く日があるので、その日の額ではなく1日あたりに直した額を使います。
トントンまでの日数を過ぎれば、必ずプラスになりますか?
なりません。スワップが入力した額のまま続き、レートもその値にとどまった場合の計算です。スワップが減ったり、レートがさらに逆に動いたりすれば、日数は延びます。
ロスカット目安が日数とともに遠ざかるのはなぜですか?
受け取ったスワップが証拠金に加わり、損失に耐えられる余裕が増えるからです。ただし、スワップを証拠金にどう反映するかは口座によって違います。口座の説明で確認してください。
ナンピンを入れると、表はどう計算されますか?
「レート×保有日数」の表では、入れた追加の注文が今日すべて約定した場合の損益になります。シミュレートでは、追加の注文ごとに入れた約定予定日を使います。シミュレートの日付までに約定予定日が来た注文だけを入れ、スワップもそれぞれの約定予定日から数えます。
評価損益が口座アプリと少し違います
今のレートに、決済するときの値(売りならASK、買いならBID)を入れているか確認してください。円が後ろにつかない通貨ペアなら、円換算レートも今の値にします。受け取ったスワップの欄に口座の「スワップ合計」を入れると、さらに近づきます。
円が後ろにつかない通貨ペアの円換算レートは何を入れればいいですか?
決済通貨と円のレートです。スイスフラン/トルコリラなら、後ろの通貨のトルコリラと円のレート(トルコリラ/円)を入れます。
まとめ
- スワップ狙いで見るべきは「どこまで耐えられるか」と「何日持てば取り戻せるか」の2つ
- 1年分のスワップが埋める逆行の幅と、日数ごとのロスカット目安を並べて見る
- 一番危ないのは建てた直後。トントンまでの日数が短くても、そこまで耐えられる証拠金がなければ意味がない
- ナンピンは取り戻すまでの日数を縮める代わりに、ロスカットを近づける
- スワップの額も通貨の値段も変わる。表は「今の条件が続いたら」の目安として使う
ポジションを持つ前に一度、今の証拠金で表を出してみてください。灰色の「ロスカット」がどのレートから始まるかを見ておくだけで、持ち方が変わるはずです。
短期のトレードでのレートごとの損益は「FX損益計算ツール」で確認できます。資金の置き方は「FXの資金管理|2%ルールで破産しないトレード」も参考にしてください。

