米国の小売売上高(Advance Monthly Retail Trade)の結果を、発表のたびに書き換えていくページです。アメリカの消費者が「今月どれだけお金を使ったか」を一番早く教えてくれる数字なので、ドル円を触る人なら毎月チェックしておきたい指標です。
最終更新:2026年10月18日(2026年9月分を反映)
※ 数字は発表後も改定されます。トレード判断はご自身の責任でお願いします。

僕はこの指標を「アメリカの家計簿の速報版」だと思って見ています。ただし、値上がりした分もそのまま入っている家計簿です。そこが読み方のキモになります。
今回の変更点(2026年10月18日更新)
- 2026年9月分を反映。総合は前月比+0.8%で、市場予想の+0.3%(ロイター調査)を大きく上回りました
- ただし増えた金額の約7割はガソリンスタンド(前月比+6.4%)。ガソリンを除くと+0.2%、GDPの計算に使うコントロールグループは+0.1%(予想+0.3%)にとどまりました
- 8月分は+1.1%→+1.3%に上方改定。7月分も推移データ上で−0.5%→−0.4%に変わっています
- 9月のCPIは前月比+0.6%。値上がりを引くと、9月の実質の伸びはざっくり+0.2%程度です

結論:見出しは強いが、中身は「ガソリン代が増えただけ」に近い
- 2026年9月分の小売売上高は前月比+0.8%、前年比+6.3%。2ヶ月続けて予想を上回る強い見出しになりました
- 一方で、ガソリンを除くと+0.2%、自動車とガソリンを除いても+0.2%、コントロールグループは+0.1%。ガソリン以外はほぼ横ばいです
- 8月が+1.3%(コントロールグループ+1.2%)と大きく伸びた反動もあり、9月は「強い8月のあとの一服」と見るのが自然です
- 8月の貯蓄率は4.1%と直近13ヶ月で最低、実質可処分所得は前月比0.0%。稼ぎが増えないまま、貯金を削って使っている形は変わっていません
- 7〜9月の3ヶ月平均は前月比+0.57%で、4〜6月(+0.60%)とほぼ同じ。単月の数字で「消費が強まった」「弱まった」とは言えません
最新の結果(2026年9月分)
| 項目 | 結果(9月・速報) | 市場予想 | 前回(8月・改定後) |
|---|---|---|---|
| 小売売上高(前月比) | +0.8% | +0.3%(ロイター) | +1.3%(改定前+1.1%) |
| 小売売上高(前年比) | +6.3% | — | +5.6% |
| 自動車除く(前月比) | +0.9% | +0.5% | +1.4% |
| ガソリン除く(前月比) | +0.2% | — | +1.0% |
| 自動車・ガソリン除く(前月比) | +0.2% | — | +1.1% |
| コントロールグループ(前月比) | +0.1% | +0.3% | +1.2% |
出典:米国勢調査局「Advance Monthly Sales for Retail and Food Services, September 2026」(2026年10月15日発表、CB26-165)表1・表2、FRED(RSAFS・RSFSXMV)。市場予想はロイター・investingLiveの報道による(総合の予想レンジは0.0〜+0.7%)。コントロールグループは米国勢調査局の表1から算出(自動車・ガソリン・建材・外食を除く。9月は+0.14%)。
9月の総合の誤差の幅は±0.4%です。+0.8%は統計的に意味のある伸びですが、自動車とガソリンを除いた+0.2%は、米国勢調査局の発表でも「ゼロと区別できない」印(*)がついています。

今回は「総合は強いがコントロールグループが弱い」の典型パターンでした。予想との差は総合で+0.5ポイントの上振れ、コントロールグループで−0.2ポイントの下振れ。見出しだけで飛び乗ると、あとで中身に気づいた人の売りを浴びやすい形です。
発表直後のドル円(2026年10月15日 21:30)

| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 発表直前(21:29) | 158.015 |
| 発表後15分間の高値 | 158.188 |
| 発表後15分間の安値 | 157.754 |
| 15分後(21:45) | 157.912 |
※ 9月分は、前日(10月14日)に9月CPIが出たあとの発表でした。CPIでガソリン高がすでに見えていたので、総合の上振れはある程度予想されていた面があります。
13ヶ月の推移
| 対象月 | 前月比(総合) | 前年比(総合) | 前月比(自動車除く) | CPI総合 前月比(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 2025年9月 | +0.1% | +3.7% | +0.1% | +0.3% |
| 2025年10月 | 0.0% | +2.8% | +0.3% | —(政府閉鎖で欠落) |
| 2025年11月 | +0.7% | +2.9% | +0.5% | —(政府閉鎖で欠落) |
| 2025年12月 | +0.1% | +2.1% | +0.2% | +0.3% |
| 2026年1月 | −0.6% | +2.2% | −0.6% | +0.2% |
| 2026年2月 | +0.9% | +3.5% | +0.8% | +0.3% |
| 2026年3月 | +1.7% | +3.6% | +1.9% | +0.9% |
| 2026年4月 | +0.6% | +4.1% | +0.9% | +0.6% |
| 2026年5月 | +1.0% | +6.7% | +1.0% | +0.5% |
| 2026年6月 | +0.2% | +5.9% | −0.3% | −0.4% |
| 2026年7月(改定) | −0.4% | +4.5% | −0.1% | +0.1% |
| 2026年8月(改定) | +1.3% | +5.6% | +1.4% | +0.4% |
| 2026年9月 | +0.8% | +6.3% | +0.9% | +0.6% |
出典:米国勢調査局、FRED(小売売上高 RSAFS・自動車除く RSFSXMV・CPI総合 CPIAUCSL)。すべて季節調整済み・名目。2026年9月は速報値、8月は改定値。2025年10月・11月のCPI前月比は政府閉鎖の影響でデータがありません。
今回から13ヶ月分そろいました。2025年9月・10月の数字も、推移データの最新値に合わせて書き換えています(前回掲載から0.1ポイント前後の違い)。
業種別の内訳(2026年9月分・速報)
| 業種 | 前月比 | 前年比 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| ガソリンスタンド | +6.4% | +28.1% | 値上がりがそのまま乗った。9月の伸びの約7割 |
| 家具 | +1.3% | +4.9% | |
| 外食・飲食 | +1.1% | +7.0% | サービス消費の手がかり。2ヶ月続けて強い |
| 医薬・ドラッグストア | +0.7% | −1.2% | |
| 電気製品・家電 | +0.6% | +9.4% | |
| 食品・飲料店 | +0.4% | +0.9% | |
| 無店舗小売(ネット通販など) | +0.3% | +8.2% | 8月の+2.0%から鈍化 |
| 自動車・部品 | +0.2% | +2.5% | |
| 衣料品 | 0.0% | +5.0% | |
| 総合小売(スーパー・量販店) | −0.1% | +4.2% | |
| スポーツ・趣味・書籍 | −0.5% | +9.6% | |
| 建材・園芸 | −0.6% | +4.5% | |
| 雑貨・その他小売 | −3.0% | +10.9% | 8月の+3.6%の反動 |
出典:米国勢調査局「Advance Monthly Retail Trade Report」表2(2026年10月15日発表、季節調整済み)。
13業種のうち伸びたのは8業種、横ばい1、マイナス4。8月は12業種がプラスだったので、広がりははっきり狭くなりました。総額は前月から約57億ドル増えましたが、そのうち約41億ドルがガソリンスタンドです。
小売売上高は「名目」。物価を引いて読む
ここがこの指標で一番大事なところです。小売売上高は値上がり分を差し引いていない(名目の)金額です。
たとえるなら、スーパーのレシートの合計額だけを見ているようなものです。先月3,000円だったレシートが今月3,300円になっていても、卵やガソリンが値上がりしただけなら、かごの中身は増えていません。9月はまさにこのパターンで、「給油の領収書の金額だけが増えた月」でした。
| 2026年9月分 | 前月比 | 前年比 |
|---|---|---|
| 小売売上高(名目) | +0.8% | +6.3% |
| CPI総合 | +0.6% | +3.7% |
| ざっくり実質(名目−CPI) | 約+0.2% | 約+2.6% |
| (参考)ガソリン除く小売(名目) | +0.2% | +4.5% |
出典:米国勢調査局、FRED(RSAFS・CPIAUCSL・CPIAUCNS)。「ざっくり実質」は単純な引き算による目安で、公式の数字ではありません。9月の実質個人消費支出(PCE)は未発表です。
9月は値上がりを引くと、ほとんど伸びていません。ガソリンスタンドの前年比+28.1%も、量が増えたというより価格の影響です(WTI原油は2026年9月末に前年比+53.8%、FRED DCOILWTICOの月末値ベース)。

見出しの数字が大きい月ほど、「それ、値上がりのせいじゃない?」と一回疑うクセをつけておくと、飛びつきエントリーが減ります。9月はその練習問題みたいな月でした。
他の消費の指標との違い
| 指標 | 何を測るか | 名目/実質 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 小売売上高 | モノの販売額+外食 | 名目 | 毎月中旬(最速) |
| 個人消費支出(PCE) | モノ+サービス全体(家賃・医療・旅行なども) | 名目と実質の両方 | 月末ごろ(約2週間遅れ) |
| GDPの個人消費 | 四半期の消費全体 | 実質 | 四半期ごと |
小売売上高は速いけれど、サービスの大部分が入っていないのが弱点です。アメリカの消費の多くはサービスなので、小売売上高が弱くても、家賃や医療を含む消費全体が同じだけ弱いとは限りません。9月分の実質PCEが月末に出たら、小売売上高と同じ向きかを確かめます(8月の実質PCEは前月比+0.6%)。
PCEの詳しい中身は PCEデフレータの随時更新記事 にまとめています。
基調:3ヶ月平均で見ると「春ほどではないが崩れてもいない」
単月の小売売上高は、セールの時期や天候、ガソリン価格で大きく振れます。なので僕は3ヶ月平均で向きを見ています。
| 期間 | 総合(前月比の平均) | 自動車除く(前月比の平均) |
|---|---|---|
| 2026年3〜5月 | +1.10% | +1.27% |
| 2026年4〜6月 | +0.60% | +0.53% |
| 2026年7〜9月 | +0.57% | +0.73% |
出典:FRED(RSAFS・RSFSXMV)から計算。2026年9月は速報値。
米国勢調査局の発表でも、7〜9月の売上高は4〜6月より1.2%多く、ガソリンを除いても同じ1.2%でした。四半期でならせば、ガソリン以外の消費もそれなりに伸びています。つまり「8月に前倒しで使って、9月は一服」という形で、3ヶ月で見ると減速とまでは言えません。
関連する景気の数字
| 指標 | 最新値 | 対象期間 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 実質可処分所得(前月比) | 0.0% | 2026年8月 | 消費の原資が増えていない |
| 貯蓄率 | 4.1% | 2026年8月 | 直近13ヶ月で最低(7月4.6%) |
| 実質個人消費支出(前月比) | +0.6% | 2026年8月 | 9月分は月末に発表 |
| CPI総合(前月比) | +0.6% | 2026年9月 | ガソリン高で8月の+0.4%から加速 |
| 失業率 | 4.2% | 2026年9月 | 7〜8月の4.1%からわずかに上昇 |
| 非農業部門雇用者数(前月差) | +2.9万人 | 2026年9月 | 8月の+13.3万人から鈍化 |
| 新規失業保険申請件数 | 19.9万件 | 2026年10月10日週 | 解雇はまだ少ない |
| GDPナウ(アトランタ連銀) | 3.6% | 2026年7〜9月期 | モデル推計。振れが大きい |
出典:FRED(DSPIC96・PSAVERT・PCEC96・CPIAUCSL・UNRATE・PAYEMS・ICSA・GDPNOW)。
先月から気になっている所得が増えていないのに消費が強いという形は、9月でブレーキがかかり始めたようにも見えます。ガソリン代が膨らむと、ほかのモノに回せるお金はそのぶん減ります。9月の雇用者数も+2.9万人と弱めだったので、10月分でガソリン以外の消費が戻るかどうかが次の焦点です。
市場とFRB
FRBは2026年9月のFOMCで利上げし、政策金利の上限は4.00%のままです(FRED DFEDTARU、2026年10月16日時点)。物価は2%目標を上回ったまま(コアPCEは2026年8月で前年比3.01%、9月のCPI総合は前年比3.7%)です。
9月の小売売上高は、FRBにとって判断が分かれやすい中身でした。
- タカ派の読み:ガソリン高で物価が上がり、それでも名目の売上は伸びている。インフレの火種は消えていない
- ハト派の読み:ガソリン以外はほぼ横ばいで、実質ではほとんど伸びていない。物価高が消費を削り始めている
ドル円にとっての小売売上高は、だいたいこう効きます。
- 予想より強い → 米金利上昇 → ドル買い(ドル円は上がりやすい)
- 予想より弱い → 米金利低下 → ドル売り(ドル円は下がりやすい)
- 総合は強いがコントロールグループが弱い → 最初の反応が戻されやすい(9月分がこれ)
FRBメンバー一人ひとりの姿勢は FRBメンバーのタカ派・ハト派一覧 で追っています。
次回の発表で見るポイント
次回:2026年11月17日(火)米国8:30=日本時間22:30(2026年10月分)
米国は11月1日に冬時間へ切り替わるので、次回から日本時間は22:30です。
- コントロールグループが戻るか:9月の+0.1%が「8月の反動」なのか「息切れの始まり」なのかがわかります
- ガソリンスタンドの動き:原油高が続けば総合はまた押し上げられます。ガソリン除くの数字で「量」を確かめます
- 9月分の改定:+0.8%、コントロールグループ+0.1%がどちらに動くか
- 10月CPIとの差:名目の伸びがCPIの前月比を上回るかどうか
- 年末商戦の入り口:無店舗小売(ネット通販)と総合小売が9月の鈍化から持ち直すか
小売売上高の基礎
- 発表元:米国勢調査局(U.S. Census Bureau)。正式名称は「Advance Monthly Sales for Retail and Food Services」
- 発表日:毎月中旬、米国東部時間8:30(日本時間は夏時間21:30、冬時間22:30)。対象は前月分
- 中身:小売業と外食の販売額。全米約4,800社のサンプルから推計する速報値
- 単位:季節調整済み・名目(値上がりは差し引かない)。前年比も季節調整済みのデータで計算されます
- 改定:翌月の発表で前月分が改定され、年1回の年次改定で過去分がまとめて書き換わります(2026年は9月28日に実施)
- 主な見方:総合/自動車除く/自動車・ガソリン除く/コントロールグループ(自動車・ガソリン・建材・外食を除く。GDPの個人消費の計算に使われる)
速報値には誤差の幅(9月の総合は±0.4%)がついています。前月比が0.3%以下のときは「誤差の範囲かも」と思っておくくらいがちょうどいいです。
トレーダーとしての使い方
僕は小売売上高を「単独で勝負する指標」ではなく、米金利の方向を確かめる材料として使っています。
- 発表前:市場予想(総合・自動車除く・コントロールグループ)を3つメモしておく
- 発表直後:総合だけでなく、コントロールグループの予想との差を見る。総合だけ強いなら飛びつかない
- 前月の改定を確認:今月が弱くても、前月が大きく上方修正されていたら差し引きで判断する(9月分は8月が+0.2ポイント上方改定)
- CPIと並べる:同じ週にCPIが出ることが多いので、「値上がり分を引いても強いか」を確かめる
- ポジションを持っているとき:発表の数分前後はスプレッドが広がりやすいので、新規エントリーは発表後の値動きが落ち着いてからにする

僕のドル円は「ここまでは来ないだろう」という水準まで引き付けて分割で入るスタイルです。小売売上高みたいな指標の直後は、その「来ないだろう水準」に一瞬タッチしやすい。だからこそ、損切りの合計額だけは発表前に決めておくようにしています。
更新履歴
| 更新日 | 反映した月 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年10月18日 | 2026年9月分 | 9月分を反映。8月分の改定(+1.1%→+1.3%)を反映し、推移表を13ヶ月分にそろえた |
| 2026年10月4日 | 2026年8月分 | 初版公開。9月28日の年次改定後の数字を反映 |
よくある質問
米小売売上高はいつ発表されますか?
毎月中旬に、前月分が米国東部時間8:30に発表されます。日本時間では夏時間が21:30、冬時間が22:30です。2026年10月分は2026年11月17日(火)22:30の予定です。
小売売上高とコントロールグループの違いは何ですか?
コントロールグループは、小売売上高から自動車・ガソリンスタンド・建材・外食を除いた数字です。振れの大きい項目を外しているので消費の実勢をつかみやすく、GDPの個人消費の計算にも使われます。
小売売上高はインフレの影響を受けますか?
受けます。小売売上高は値上がり分を差し引かない名目の金額なので、物価が上がるだけでも数字は増えます。同じ月のCPIと並べて、値上がりを引いても伸びているかを確かめるのが基本です。
小売売上高が予想より強いとドル円はどうなりますか?
一般的には、米国の消費が強いと米金利が上がりやすくなり、ドル買い・円売りでドル円は上がりやすくなります。ただし前月分の下方修正やコントロールグループの弱さがあると、最初の反応が戻されることもあります。
2026年9月分の小売売上高はどうでしたか?
前月比+0.8%で、市場予想の+0.3%を上回りました。ただし伸びの約7割はガソリンスタンドで、ガソリンを除くと+0.2%、コントロールグループは+0.1%(予想+0.3%)にとどまりました。8月分は+1.1%から+1.3%に上方改定されています。
まとめ
- 2026年9月分の米小売売上高は前月比+0.8%と予想(+0.3%)を上回ったが、伸びの約7割はガソリンスタンド
- ガソリンを除くと+0.2%、コントロールグループは+0.1%と予想を下回り、中身は弱め
- CPI(+0.6%)を引くと実質はざっくり+0.2%程度。8月(+1.3%に上方改定)の反動とも読める
- 7〜9月の3ヶ月平均は+0.57%で4〜6月とほぼ同じ。単月で「息切れ」と判断するのは早い
- 次回は2026年11月17日(火)22:30(冬時間)。コントロールグループが戻るかどうかに注目
このページは毎月の発表後に更新します。
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