米PCEデフレータは、FRBが「物価2%」の目標に使っている物価指数です。ニュースでは総合とコアの2つの数字しか出ませんが、FRBが本当に見ているのはその中身です。このページでは、見出しの数字に加えて、推移・内訳・基調の物価・消費と所得まで、発表のたびに更新していきます。
最終更新日:2026年10月1日(2026年8月分を反映)
※FXは元本を割り込むリスクがあります。この記事は相場の見方を整理したもので、売買を勧めるものではありません。
今回の変更点(2026年10月1日更新)
- 2026年8月分を反映。 コアPCEは前月比+0.25%、前年比3.01%。総合は前月比+0.31%、前年比3.42%
- 事前予想より低めでした。 予想は総合が前月比+0.4〜0.5%、コアが+0.3%(TradingKeyの事前予想記事、2026年9月)
- 年次改定で過去の数字が大きく下がりました。 7月のコアPCEは前年比3.34%→2.98%、総合は3.70%→3.36%。改定は2021年1月までさかのぼっています
- 貯蓄率も書き換わりました。 7月は3.0%→4.6%。「家計が貯蓄を取り崩して消費している」という前回の見立ては、改定後の数字では当てはまりません
- 実質の個人消費は8月に前月比+0.6%。 7月(改定後+0.1%)から持ち直しました

| 対象月 | コアPCE 前年比(改定前) | コアPCE 前年比(改定後) | 差 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月 | 3.25% | 3.11% | -0.14 |
| 2026年4月 | 3.33% | 3.08% | -0.25 |
| 2026年5月 | 3.46% | 3.16% | -0.30 |
| 2026年6月 | 3.34% | 3.04% | -0.30 |
| 2026年7月 | 3.34% | 2.98% | -0.36 |
出典:BEA(FRED:PCEPILFE)。改定前は前回更新時(2026年9月30日公開)の数字。

今回いちばん大きいニュースは8月の数字そのものより、過去の数字が丸ごと0.3ポイントほど下がったことです。「コア3%台で止まらない」と思っていた景色が、改定1回でかなり変わりました。
結論:コアは3.0%まで下がった。ただし2%はまだ遠い
2026年8月分のポイントは3つです。
- コアPCEは前年比3.01%。 改定で水準が下がり、3%ちょうど付近まで来ました。ただ7月(2.98%)からはわずかに上がっています
- 外れ値を除いたトリム平均は2.19%で、まだ下がり続けています。 コアとの差は0.82ポイント。改定前(7月時点で1.06ポイント)より縮みましたが、平時よりは大きい状態です
- 消費は強く戻った。 実質の個人消費は前月比+0.6%。物価が下がり気味でも、景気の側からはFRBが急いで利下げする理由は出ていません
最新の結果(2026年8月分)
| 項目 | 前月比 | 前年比 |
|---|---|---|
| PCE総合 | +0.31% | 3.42% |
| コアPCE(食品・エネルギー除く) | +0.25% | 3.01% |
| トリム平均PCE(ダラス連銀) | 年率1.92% | 2.19% |
| 実質個人消費支出 | +0.6% | 2.6% |
| 実質可処分所得 | 0.0% | — |
| 貯蓄率 | 4.1%(水準) | — |
出典:米商務省経済分析局(BEA)「Personal Income and Outlays, August 2026」(2026年9月30日発表)、ダラス連銀・BEA(FRED経由)。前月比の小数第2位は、FREDの指数(PCEPI・PCEPILFE)から筆者計算。BEAの発表文では総合+0.3%、コア+0.2%です。トリム平均PCEの前月比は、もともと年率に直した数字です。
発表直後のドル円の動き

| 発表日時(日本時間) | 発表直前 | 15分間の高値 | 15分間の安値 | 15分後 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年9月30日 21:30 | 156.932 | 157.087 | 156.648 | 156.712 |
今回は4〜6月期GDPの確定値と年次改定が同じ時刻に出ています。動いた理由がPCEだけとは限りません。
PCEデフレータの推移(直近12ヶ月・年次改定後)
| 対象月 | 総合 前年比 | コア 前年比 | 総合 前月比 | コア 前月比 | トリム平均 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年9月(改定) | 2.78% | 2.82% | 0.3% | 0.2% | 2.76% |
| 2025年10月(改定) | 2.66% | 2.70% | 0.1% | 0.2% | 2.60% |
| 2025年11月(改定) | 2.71% | 2.72% | 0.2% | 0.2% | 2.52% |
| 2025年12月(改定) | 2.78% | 2.87% | 0.3% | 0.3% | 2.47% |
| 2026年1月(改定) | 2.73% | 2.94% | 0.3% | 0.4% | 2.45% |
| 2026年2月(改定) | 2.80% | 2.96% | 0.3% | 0.3% | 2.38% |
| 2026年3月(改定) | 3.37% | 3.11% | 0.6% | 0.3% | 2.36% |
| 2026年4月(改定) | 3.57% | 3.08% | 0.4% | 0.3% | 2.38% |
| 2026年5月(改定) | 3.82% | 3.16% | 0.4% | 0.3% | 2.44% |
| 2026年6月(改定) | 3.45% | 3.04% | -0.1% | 0.1% | 2.28% |
| 2026年7月(改定) | 3.36% | 2.98% | 0.1% | 0.1% | 2.28% |
| 2026年8月 | 3.42% | 3.01% | 0.3% | 0.2% | 2.19% |
出典:BEA(FRED:PCEPI、PCEPILFE)、ダラス連銀(FRED:PCETRIM12M159SFRBDAL)。前年比は小数第2位まで、前月比は発表と同じ小数第1位。年次改定で2021年1月以降がすべて書き換わったため、2025年9月〜2026年7月は全月「改定」です。
表から読めることは2つです。
1つ目は、総合を押し上げたのはエネルギーだということ。 総合は2026年3月から急に上がり、5月に3.82%まで上昇しました。同じ時期にWTI原油は1バレル100ドルを超えています(2026年3月末102.86ドル、4月末108.64ドル。EIA、FRED経由)。改定後も、この形は変わっていません。
2つ目は、コアは2026年5月の3.16%を山に、3ヶ月続けて3.0%前後で横ばいになっていること。 一方、トリム平均は1年かけて2.76%から2.19%までじわじわ下がりました。コアだけが3%付近に残っている構図は、改定後も続いています。
中身を分解:改定で何が変わったのか
前回の更新では、コアPCEがトリム平均やコアCPIより大きく上振れている理由として、金融サービス・保険の値上がりを挙げていました(2026年7月分・改定前で前年比7.55%)。
今回の年次改定で、BEAはまさにこの部分の計り方を変えています。BEAが2026年6月に公表した改定予告によると、主な変更は次の3つです。
| 品目 | これまで | 改定後 |
|---|---|---|
| ポートフォリオ管理・投資助言 | 生産者物価指数(PPI)で実質化 | その業界の雇用者数をもとに「量」を推計する方法へ |
| 法律サービス | CPIの法律サービス | 家計が使う法律サービスのPPIを組み合わせた指数へ |
| ソフトウェア・周辺機器 | CPIのソフトウェア | CPIとPPI(ゲームソフト、ITインフラなど)を組み合わせた指数へ |
出典:BEA「Preview of the 2026 Annual Update of the National Economic Accounts」(Survey of Current Business、2026年6月24日)。
ポイントは1つ目です。資産運用の手数料は、運用している資産の額に比例して増えます。株価が上がると手数料も増えるので、これまでの方法だと株高がそのまま「値上がり」として物価に乗りやすい仕組みでした。改定後は、手数料の総額のうち「量」の部分を業界の雇用者数から推計するので、株高による押し上げが物価に出にくくなると考えられます。
たとえるなら、体重計の目盛りがずれていたのを直したようなものです。体重そのものが急に減ったのではなく、量り方が変わったので数字が下がりました。だから「インフレが急に収まった」と読むのは早すぎます。
品目別の改定後の数字(BEA NIPA表2.8.4)は、次回の更新でこのページに表として載せます。
CPIとなぜこんなに違う?
8月分で比べると、コアCPIは前年比2.4%、コアPCEは3.01%です。普段はPCEの方がCPIより低く出るので、PCEがCPIを上回っている状態は今も続いています。
ただし、その差は改定で縮みました。7月分で比べると、改定前は0.84ポイント(コアPCE 3.34%、コアCPI 2.5%)でしたが、改定後は0.48ポイント(コアPCE 2.98%)です。8月分では0.61ポイントでした。
PCEは「家計のために使われたお金」を広く数えるので、金融手数料や保険の比重がCPIよりずっと大きくなっています。上で見た金融サービスの計り方の変更が、差が縮んだ理由の1つと考えられます。
出典:コアCPIは米労働統計局(BLS、FRED:CPILFENS、季節調整なし・発表準拠)。
基調の物価:トリム平均と3ヶ月年率
コアでも、値動きの激しい品目が混ざると数字が振れます。そこで、上下の極端な品目を取り除いた「トリム平均」や、足元の勢いを見る「3ヶ月年率」を並べて見ます。
| 指標 | 前年比 | 3ヶ月年率 | 対象月 |
|---|---|---|---|
| コアPCE | 3.01% | 2.05% | 2026年8月 |
| トリム平均PCE(ダラス連銀) | 2.19% | 1.77% | 2026年8月 |
| 中央値CPI(クリーブランド連銀) | 2.58% | 2.44% | 2026年8月 |
| 16%トリム平均CPI(クリーブランド連銀) | 2.57% | 1.83% | 2026年8月 |
出典:BEA、ダラス連銀、クリーブランド連銀(FRED経由)。コアPCEの3ヶ月年率はFREDの指数(PCEPILFE、2026年5月→8月)から筆者計算。トリム平均PCEの3ヶ月年率は、年率の3ヶ月平均による近似値。
改定後の数字で見ると、コアPCEの3ヶ月年率は2.05%で、ほぼ目標の2%です。 前年比(3.01%)よりかなり低く、トリム平均の3ヶ月年率も1.77%まで下がっています。どの指標も3ヶ月年率が前年比より低く、基調の物価は「まだ下がる途中」と読めます。
ただし、3ヶ月年率は6月・7月の弱い数字(コア前月比0.1%が2回)に引っ張られています。8月は+0.25%で、これを1年続けると約3%です。2%台に落ち着いたと言えるかは、9月・10月分でも低い前月比が続くかどうかで確かめる必要があります。
消費と所得:景気の側から見る
PCEの発表では、物価と同時に個人消費と所得も出ます。物価だけでなく「家計がまだお金を使えているか」も見ておくと、ドル円の読みが深くなります。
| 対象月 | 実質個人消費 前月比 | 実質可処分所得 前月比 | 貯蓄率 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月(改定) | 0.3% | 0.1% | 5.1% |
| 2026年4月(改定) | 0.3% | -0.4% | 4.4% |
| 2026年5月(改定) | 0.3% | 0.3% | 4.4% |
| 2026年6月(改定) | 0.4% | 0.4% | 4.4% |
| 2026年7月(改定) | 0.1% | 0.3% | 4.6% |
| 2026年8月 | 0.6% | 0.0% | 4.1% |
出典:BEA(FRED:PCEC96、DSPIC96、PSAVERT)。
改定前は、貯蓄率が2026年6月に2.6%まで下がり、「所得が減る中で貯蓄を取り崩して消費している」ように見えていました。改定後は、貯蓄率は4%台半ばでほぼ横ばいで、所得もおおむね増えています。家計の余力は、改定前に見えていたよりあります。
8月は所得が横ばいの中で消費が+0.6%と強く、貯蓄率は4.1%に下がりました。消費が強い月が続くのか、8月だけの振れなのかは、次の数ヶ月で確かめます。
市場とFRBはどう見ているか
- 政策金利: FRBは2026年9月のFOMCで利上げし、誘導目標の上限は4.00%です(FRED:DFEDTARU)
- 米2年債利回り: 4.89%(2026年9月29日、FRED:DGS2)。前日(9月28日)の4.92%からわずかに低下しました
- 期待インフレ率: 10年BEIは2.35%、5年先5年は2.36%(2026年9月29日、FRED)。市場は長い目で見た物価について、まだ落ち着いていると見ています
- 次のFOMC: 2026年10月27〜28日(結果発表は日本時間10月29日3時)。経済見通しの公表は無い回です(FRB公表の日程)
物価の数字は下がる方向に書き換わった一方、消費は強い。FRBが「追加の利上げはもう要らない」と見るのか、「消費が強いのでまだ様子を見る」と見るのかが、次の焦点です。FRBのメンバーが誰がタカ派で誰がハト派なのかは、FRBメンバーのタカ派・ハト派一覧にまとめています。
次回の発表で見るポイント(2026年9月分)
- 発表日時: 2026年10月29日 21:30(日本時間)。米国時間では8時30分です(BEA公表の日程)
- FOMCの翌日です。 10月のFOMCは改定後の8月分までを見て判断し、9月分はその後に出ます
- コアの前月比が0.2%以下に収まるか。 3ヶ月年率2%前後を保てるかの分かれ目です
- トリム平均との差がさらに縮むか。 改定後も0.8ポイントある差が縮めば、コアの上振れは一部品目の問題だったと言いやすくなります
- 消費が8月の勢いを保つか。 所得が伸びないまま消費が続くと、貯蓄率がまた下がります
そもそもPCEデフレータとは
PCEデフレータ(個人消費支出物価指数)は、米国の家計が買うモノやサービスの値段の動きを表す指数です。米商務省の経済分析局(BEA)が、個人所得・支出の統計と一緒に毎月発表しています。
CPI(消費者物価指数)とよく比べられますが、違いは主に3つです。
| PCEデフレータ | CPI | |
|---|---|---|
| 発表 | 商務省(BEA) | 労働省(BLS) |
| 範囲 | 家計のために使われたお金を広く数える(企業や政府が払う医療費なども含む) | 家計が自分で払ったお金だけ |
| 中身の入れ替え | 消費の中身が変わると、比重もすぐ変わる | 比重は年1回見直し |
| 住居の比重 | 小さめ | 大きい(約3分の1) |
もう1つ大事な違いが改定です。CPIは原則として過去の数字を書き換えませんが、PCEは毎月の発表で前の月を、毎年9月ごろの年次改定で数年分をまとめて書き換えます。今回のように、過去の数字が0.3ポイント以上動くこともあります。
FRBの物価目標「2%」は、このPCEデフレータで決められています。CPIの方が2週間ほど早く出るので、相場はCPIで大きく動くことが多いですが、FRBの判断に直結するのはPCEです。
トレーダーとしての使い方
- 発表前に、CPIとPPIから中身をある程度予想しておく
- PCEの多くの品目はCPIやPPIの数字から計算されるため、CPIの発表後にはPCEの予想がかなり固まります。ただし年次改定の月は例外で、予想が当てにくくなります
- 見るのは前月比のコア
- 前年比は12ヶ月の平均なので動きが遅く、相場が反応するのは前月比です。コアで0.1ポイントの差でも反応することがあります
- トリム平均との差を確認する
- コアが上振れても、トリム平均が落ち着いていれば「一部の品目のせい」です。その上振れが続くかどうかは、品目を見て判断します
- 消費の数字もセットで見る
- 物価が高くても消費が弱ければ、FRBは追加の引き締めに慎重になりやすいです
- 改定のあとは、改定後の数字どうしで比べる
- 「先月は3.34%だったのに」と改定前の数字と比べると、実際より大きく下がったように見えてしまいます

PCEは「CPIの答え合わせ」と言われるくらい、数字の予想がしやすい指標です。でも年に1回の年次改定だけは別物。今回みたいに過去の景色がまるごと変わるので、前のメモは捨てて見直すようにしています。
経済指標の読み方の全体像は、FXの学習ロードマップにまとめています。
更新履歴
| 更新日 | 反映した月 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日 | 2026年7月分 | ページ公開 |
| 2026年10月1日 | 2026年8月分 | 8月分を反映。年次改定で推移表・消費と所得の表を改定後の数字に書き換え。計り方の変更(ポートフォリオ管理など)の解説を追加 |
よくある質問
PCEデフレータはいつ発表されますか?
毎月下旬から月末に、米商務省の経済分析局(BEA)が前月分を発表します。発表時刻は米国時間の8時30分で、日本時間では夏時間中は21時30分、冬時間中は22時30分です。
PCEデフレータとCPIはどちらが重要ですか?
FRBの物価目標2%はPCEデフレータで決められているので、金融政策の判断にはPCEの方が重要です。一方、CPIの方が約2週間早く発表されるため、相場が大きく動きやすいのはCPIです。
コアPCEとは何ですか?
PCEデフレータから、値動きの激しい食品とエネルギーを除いたものです。物価の基調をつかむために使われ、FRBも重視しています。
トリム平均PCEとは何ですか?
ダラス連銀が公表している指標で、PCEの品目のうち値上がり率が極端に高いものと低いものを取り除いて計算します。一部の品目の大きな値動きに引っ張られにくいので、物価の広がりを見るのに向いています。
PCEデフレータの年次改定とは何ですか?
BEAが毎年9月ごろに行う見直しで、新しい元データや計り方の改善を取り込み、過去数年分の数字をまとめて書き換えます。2026年は9月30日に行われ、2021年1月以降の数字が改定されました。
PCEデフレータの結果でドル円はどう動きますか?
一般に、予想より高ければ利上げ観測が強まってドル高・円安、予想より低ければドル安・円高になりやすいです。ただし、同じ時刻にほかの指標が発表されることが多く、PCEだけで動きが決まるとは限りません。
まとめ:改定で景色が変わった。次は「低い前月比が続くか」
- 2026年8月分は、総合が前年比3.42%、コアが3.01%。前月比はコア+0.25%で、予想(+0.3%)より低め
- 年次改定でコアPCEは0.3ポイント前後下方修正。7月は3.34%→2.98%
- 改定の中心の1つは、株高で上がりやすかった資産運用手数料の計り方の変更
- コアの3ヶ月年率は2.05%、トリム平均は前年比2.19%。基調は2%に近づいている
- 消費は8月に前月比+0.6%と強く、貯蓄率も改定で4%台に。家計の余力は見えていたよりある
- 次回(2026年9月分)は10月29日。FOMCの翌日に出ます
このページは、PCEデフレータが発表されるたびに更新していきます。

「コアPCE 3.0%」だけ聞くと前とあまり変わらないように見えますが、過去の数字も一緒に下がっているので、意味は大きく違います。発表の日はこのページを開いて、改定前後の表も見比べてもらえたらうれしいです。

